APDって知っていますか?
キミエ(分子栄養学カウンセラー)です。
ある特集番組を見て
昨日、NHKを見ていたら、ある特集があっていて目に止まりました。
APD(聴覚情報処理障害)という聴覚障害に悩む方たちについての番組でした。
番組リンクはこちら↓
“聞こえているのに 聞き取れない” APD当事者の悩み
実は、私も以前軽いAPDのようになっていた時期がありました。
特集を組まれていた方々のように、すごく酷く長期ではなかったのですが、
聞こえているのに、理解できない、音が多すぎて処理できない、
不要な音と必要な音の聞き分けができなかったのです。
今回は、分子栄養学的に考えるAPDの原因についてシェアしていきたいと思います。
APD (聴覚情報処理障害)とは
聴覚情報処理障害
APD (Auditory Processing Disorder)は
“聴力は正常(=聴力検査では問題ないと言われる)であるにも関わらず、学校や職場などの日常生活場面で聞き取りにくさが生ずるという症状“
だそうです。具体的には、こんな症状が挙げられるとのこと。
・聞き返しや聞き誤りが多い
・雑音など聴取環境が悪い状況下での聞き取りが難しい
・口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい
・早口や小さな声などは聞き取りにくい
・長い話になると注意して聞き続けるのが難しい
・視覚情報に比べて聴覚情報の聴取や理解が困難である
聞き取り困難を示す聴覚情報処理障害(APD)とは?より
このような症状の方が増え、日常や仕事に支障が出ているにもかかわらず、
病院の聴力検査では問題がないので、理解してもらえず対処法もなく困り、
1人で悩むという状態に陥ってしまっているそう。
現在、ネットを中心としてAPDの輪が広がり、
前述の通りテレビで取り上げられるようになっているようです。
私も経験したAPD
このような音の聞き取りに関する症状、私もあったのですが
実は栄養カウンセリングの相談に来られるクライアントさんにも聴覚の問題が多いのです。
私にあった症状は、
●聞いているのに、なぜか内容が頭に入ってこず、
しょっちゅう「ん?」って聞き返さないといけない
●相手の口が動いているのはわかるけど音が入ってこない
●他の人は聞こえているボリュームの声なのに私だけ聞こえず、
普通の会話なのに耳に手を当てて聞かなければ会話できない
●低音の音が気になってしょうがない
今覚えているのはこんな感じです。
他にもよく聞くのは、カフェなど様々な音がするところで、
相手の会話と周りの会話が区別できず聞きとれない、
音に敏感になりすぎて公共交通機関に乗れないなどです。
一般的に考えられているAPDの背景
APDは下記のような要因が背景にあるためだ、と言われているようですが、今のところ原因は不明だそう。
<成人の場合>
●注意欠陥障害
●自閉症スペクトラム障害
●認知的なバランスの悪さ(不注意、記銘力の弱さ)
●睡眠障害
●心理的な問題 など
<小児の場合>
●注意欠陥障害
●自閉症スペクトラム障害
●認知的なバランスの悪さ(不注意、記銘力の弱さ)
●言語発達
●言語環境
●心理的な問題 など
聞き取り困難を示す聴覚情報処理障害(APD)とは?より
ADHDや自閉症、発達障害などが挙げられていますが、
これを見て分子栄養学を知っている方は気づきませんでしょうか?
そう、これらは全て栄養素の過不足や腸内環境、腸脳相関、生理学的アンバランスが関係する状態なのです。
分子栄養学的に考えるAPDの原因
分子栄養学と聴覚の関係を考える際、ある栄養素と酵素がまず浮かびます。
それはビタミンB6 と GAD(グルタミン酸脱水素酵素)と GABA(ギャバ) です。
本来、多くの人の話し声がするガヤガヤしたパーティ会場でも、
自然と人は自分が会話している相手の声を聴き分けることが出来ています。
必要な音とそうでない音を、無意識に判断して選択、脳内で処理しています。
(カクテルパーティ効果)
しかし、脳内にGABAが不足すると、この無意識の処理ができなくなると言われています。
ビタミンB6はGADの補酵素として働き、
グルタミンというアミノ酸を原料にグルタミン酸へ変換させ、GABAを作り出します。
グルタミン酸は脳を興奮させてしまう作用があります。
逆にGABAは脳を安静化・リラックスをさせる作用があります。
B6が不足しやすく、GADの働きが低下すると、
代謝されるべきグルタミン酸が脳に溜まってしまい、GABAも不足し、
脳の興奮を招きリラックス度を低下させ、聴覚過敏や処理障害が起きてしまうのです。
さらに、GADはB6のほかにも、ビタミンK、ビタミンDが補酵素です。
加えて、亜鉛不足、水銀などの重金属蓄積や感染などもGADの働きを下げる要因です。
また、GADの働きが弱いタイプの遺伝子を持つ人だとより聞き分けが難しくなります。
B6とGABA、聴覚過敏の体験については以前書いた記事も。
なぜB6が不足するか
ビタミンB6は主に食事から得られます、カツオ、マグロなど魚類やレバー、バナナなどに豊富です。
しかし食生活が悪くパスタやパンとコーヒーなどを食べていると、これらは十分摂れているとは言えなくなります。
また、コーヒーを飲むことで分泌されるアドレナリンの代謝にもB6は使用されます。
また、甘いお菓子やスイーツ、砂糖の多いものを食べていると、
血糖値の上昇から低血糖を起こし、その際にもアドレナリンなどが分泌され代謝にB6が使われます。
さらには、ストレスや不安を感じることでもアドレナリンの他にノルアドレナリンなどの
カテコラミンが分泌されその代謝にB6が必要です。
また、ビタミンB6は腸内細菌も産生しています。
しかし、上記のような食生活やストレスが多い状態にあると、腸内環境は悪くなり
腸内細菌のB6産生量は少なくなってしまいます。
市販のお弁当や加工食品には旨味調味料として、グルタミン酸ナトリウム(MSG)と呼ばれる物質が使われており、
このMSGは脳のNMDA受容体の興奮性を促進させます。
パッケージの裏面を見て「アミノ酸等」と書いてあるものがMSGです。
グルタミン酸ナトリウム中のグルタミン酸を代謝させるのが、GADなのです。
よって、食事から沢山MSGを摂っていると、GADが働きB6を消耗し、APDが起こりやすくなります。
現代人はこうして知らぬうちにビタミンB6を大量に消費しています。
APDは分子栄養学がヘルプできる分野
このように細胞レベルで分子的にAPDを見ていくと、
聴覚と栄養、酵素、腸内環境の関係は非常に深いことがわかります。
もちろん、栄養や代謝だけの問題ではない場合もあると思いますが、
後天的なAPDの場合は栄養や代謝の影響が非常に大きそうだなと感じます。
APDに悩む方は、ぜひビタミンB6不足、腸内環境、食事との関係を考えて頂ければと思いますっ。
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